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14話← 茨の森13話 →12話 →→→1話
函館天音軸 冥加×かなで
函館軸ですがゲーム本編に全然沿ってません(コンクール云々は一緒)
ファンタジー色強め、登場人物のキャラクターがおかしいかもしれません
オリジナルの捏造設定のようなものも多々でてくるのでご注意を。
函館天音軸 冥加×かなで
函館軸ですがゲーム本編に全然沿ってません(コンクール云々は一緒)
ファンタジー色強め、登場人物のキャラクターがおかしいかもしれません
オリジナルの捏造設定のようなものも多々でてくるのでご注意を。
「君の目的は」
振動する携帯の音でかなでは目を覚ました。寝起きでふわふわとした心地のままあたりを見て、かなでは練習室で眠ってしまったことを思い出す。体を動かすと、背中にかかっていたブランケットが床に落ちた。それを拾い、頭の中に疑問が浮かぶ。これは自分のものではない。ということは、誰かがこれを掛けてくれたということだ。
ニアかトーノだろうか?と考えて、かなでは鳴りっぱなしの携帯の存在に気づいた。慌てて電話に出ると、呆れた声でニアが言った。
「ようやく出たか。小日向、今何時だと思ってる」
「あ、もう12時なんだね。……12時?」
時計を確認すると、短針は丸い盤上の一番上を差していた。
「その声、やはり寝ていたんだな。今日はもう遅い、ソラを迎えに行かせるから帰る準備をしておいてくれ」
「ご、ごめんね。気づいたら寝てて」
セミファイナルの相手である神南高校の演奏を聞いてから、かなでは早朝の練習と夜遅くまでの練習を繰り返していた。数日ではあるが、食事と睡眠時間以外はほぼ練習に費やしていたため流石に疲れが出たのだろう。
「余計なお世話かもしれないが、君は少し気負い過ぎじゃないか」
ニアもかなでのその様子に気づいていたようで、今朝やんわりと釘を刺されていたのだ。
「音楽バカもまあ仕方ないが、もっと君は自分のことを考えた方がいい」
「私なら大丈夫だよ。今日はちょっと練習しすぎただけで」
「君の一番の目的は記憶を取り戻すことだろう。ブラボーポイントを集めるだけなら、そんなムキにならなくても大丈夫だよ」
記憶を取り戻すことが一番の目的と言われ、かなでは少し複雑な気分になった。コンクールという場に私情を持ち出しているようで嫌だった。
「違うよ。自分の記憶のためだけじゃない」
「別に咎めているわけじゃないんだ。君はきっと、巻き込まれた方だろうから」
「だから違うの。私がコンクールに出るのは、記憶のためじゃないよ」
ニアの言葉を遮るようにして、かなではまくしたてた。
「……あまり無理はしないでくれ。トーノもソラも心配していたぞ」
言ってしまってから、少し感情的になりすぎたとかなでは後悔した。心配をかけたのは自分だというのに、ニアにあたってしまった。
「うん、ごめん……あ、じゃあ私エントランスで待ってるから」
電話を切り、帰る支度をする。机の上に広げたままの楽譜には、眠ってしまったからかミミズのような文字が走っていた。
「冥加さん?」
扉を開けると、誰もいないであろうと思っていた廊下に見慣れた人影が立っていた。
「こんな遅い時間まで何をしている」
「すみません。えっと、すぐ帰ります」
練習をしているうちに寝てしまったと言うのは恥ずかしくて、かなでは慌てて帰ろうとする。
「天音の名を背負うなら、練習だけでなく自己管理も怠るな」
眠っていたことは既に知っているらしく、冥加はいつもの調子で注意をした。彼の冷めきった声とは正反対に、かなでは顔が熱くなっていくのを感じた。
「す、すみません」
どうしてこうも上手くいかないのだろう。ハンカチといい、コンクールといい冥加の前で情けないところをさらしてばかりいる気がする。
「今から帰るのか」
「はい、ソラが迎えに来てくれるみたいです」
「そうか」
静かに目を閉じたその表情が何を物語っているのか、かなでには読み取れなかった。
冥加が何も言わず歩き出したのを見て、思わずかなでは引き留めようと声をあげそうになった。今の会話に意味はあったのか、こんな遅い時間にどうしてここにいたのか。聞きたいことが喉元へ上がってきては、所在なく下がっていく。
冥加が歩いていく方向にセンサが反応し次々と電灯が灯っていき、その背中はだんだんと遠ざかる。
「ブランケットを掛けてくれたのは、冥加さんですか」
問いかけは足音と共に、夜の空気の中に溶けていった。
描写の長さが良い感じな時とグダグダな時と差がありますね
すべてにおいてムラが凄いので自分長編向いてないんじゃないかと思う今日この頃。
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